障害年金の時効

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 大澤耕平

最終更新日:2022年08月10日

1 時効について

  時効とは、ある状態がそのまま長い期間経過した場合に、その期間 の経過を理由に、その状態がもともとは法律上の根拠があった否かにかかわらず、その状態を法律上の根拠があるものにしてしまう制度です。

 このような説明だけをきくと、何のことかわかりづらいかもしれませんが、例えば、刑事ドラマなどで、犯罪をした人が、長い期間、警察に逮捕されず処罰もされなかった場合に「時効だから、もう処罰はできない。」という結論になるシーンをご覧になったことのある方は多いのではないでしょうか。

 時効とは、あのように、もともとは「法律上はこうあるべきだった。」という状態と、「実際には長い間、事実はこうなっていた。」という状態を比較して、一定以上の期間が経過している場合には、元々法律上の根拠がなかった状態でも、その状態を法律上のあるべき姿だと扱ってしまうようになるという制度です。

2 障害年金の請求権について

 このような時効の制度は、障害年金の世界でも問題となります。

 障害年金は、初診日(障害の原因となった傷病について最初に医師の診察や治療を受けた日)から原則として、1年半経過した時点(これを「障害認定日」といいます。)以降になれば、請求することができます。

 本来であれば、この障害認定日を迎えたタイミングですぐに、障害年金の請求をすることが望ましいのですが、いろんな理由で、適時に請求ができないこともあります。

 このような場合でも、障害認定日に本来は年金がもらえるはずだったということを診断書等から証明できれば、後からでも遡って年金の支給を受けることが可能です。

 これを障害年金の遡及請求と呼びます。

 ただし、このように過去に遡って障害年金を受け取ることのできる権利は、長期間、障害年金を受け取らないままにして放置しておくと、先述した、時効によって「障害年金を受け取っていない状態が法律上のあるべき姿である。」というように扱われてしまうことになります。

3 時効の期間について

 では、どの程度の期間が経過すると、障害年金をもらうことのできる権利が時効になるかというと、本来、障害年金を請求できるようになってから、5年経過してしまうと、それより以前にもらうことのできた障害年金は受給する権利が時効によってもらえなくなってしまいます。

 したがって、障害年金の請求をご検討中の方には、できるだけ早めに、社労士等に相談するなどして、手続きを進めることをお勧めいたします。

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