障害年金における社会的治癒とは

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 大澤耕平

最終更新日:2023年01月25日

1 初診日について

 障害年金の申請の際に、重要になる概念に、「初診日」というものがあります。

 これは、障害の原因となる傷病について、初めて医師の診察や治療を受けた日のことをいいます。

 なぜ、この初診日が重要であるかというと、国民年金や厚生年金といった複数の年金制度のどの制度が適用されるかを判断したり、年金の納付要件の判断をしたりする基準時に、初診日がなっているからです。

 初診日がどの時点と判断されるのかという1点だけで、障害年金を受給できる可能性がなくなってしまう可能性もあるため、初診日の認定は非常に重要な問題です。

2 初診日の後に症状が良くなった場合

 もっとも、障害の内容によっては、初診日のあとに症状が良くなることもあります。

 四肢の切断のようなケースでは、症状の変化というのは考え難いですが、他方で、精神疾患のような障害の場合には、症状は流動的です。

 例えば、17歳のころに学校でのトラブルから精神的に追い詰められて、親と一緒に一度だけ心療内科で受診したことがある患者さんがいたとします。

 この方がその後精神疾患で障害年金を申請しようとすると、原則として、この17歳の時の受診が初診となります。

 もっとも、例えば、この患者さんが17歳のときには1度しか心療内科を受診しておらず、その後は、心身共に元気に過ごし、大学に進学してサークル活動に励むなどして楽しい大学生活を送り、卒業して就職してと、順風満帆な人生を過ごしたとします。

そして、30歳の時に、仕事で長時間労働を強いられ、パワハラを受けて再度、心を病み精神科を受診したとします。

そして、32歳のときに障害年金の申請を検討したとします。

 このような経過の場合、形式的には17歳の受診が初診と判断されますが、実態を考えると、30歳の時に心病んで精神科で受診したところが、32歳の時につながる症状のスタートラインではないかと考えるのが自然な見方かと思います。

 このように、形式的には初診日がもっとも古い日付である場合でも、その後、長期間、症状が緩解した状態で通院もなく経過していた場合には、その間、社会的に見れば傷病は治癒していたとみなして、そのあとに再度通院を開始したところを初診日と評価するという考え方が「社会的治癒」という考え方です。

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